以前書いた ぼくが新人・部下に対して必ず言う3つの事 が地味に好評でしたので、類似シリーズとして今日はこんな話をば。
※前回はエンジニアに特化した話でしたが、今回は他業種にも多少なり適用出来るような話が多いかと思います。
※もちろん、全部が全部そうではなく、職種によっては真逆の事もあると思います。
ちなみに、3つと言う数字にこだわっている訳では無いです。 取り敢えず、ぱっと思い付いたのをだらーっと書いてったら、結果3つあった*1と言うだけの事です。
【1】基本的に電話は使わない。
まずひとつめ。
連絡手段として基本的に電話は使わない。 原則メールで、話すなら対面で直接話す。
電話を使わない理由
理由は簡単、電話は非効率だからです。
同期通信と非同期通信
通信と言う言葉はコミュニケーション手段と置き換えて貰って構いません。
電話と言うものは幾つかある手段の中で同期通信に該当する手段です。 つまり、やり取りするのにお互いの時間を合わせる必要があると言う事。
ハッキリ言ってこれは無駄な事です。
もしも電話を使うのなら、それは「本人が直接出る必要性が低く、伝言で済ませても事足りる程度の要件」に限るべきだと考えます。
電話が同期通信であるなら、メールは非同期通信です。 つまり、コミュニケーションを行う者どうしが、それぞれに都合のいい時に処理すれば良く、同期コストが発生しないと言うメリットがあります。
メールを使う他のメリット
メールを使う事のメリットで、思い付くものをざっと挙げてみます。
- 非同期コミュニケーション手段である
- 記録・証跡が残せる
- 情報の共有が容易である
- 検索性が高い
非同期コミュニケーションの利点は先に述べた通りですね。
その他、記録や証跡、いわゆるエビデンスが残せると言う事。 これを電話でやろうとするとボイスレコーダーでも使わないと無理です。
また、メールであれば複数の宛先に同時送信が出来たり、転送出来たりと、情報の共有が容易です。 更に、メール本文に関しては単なるテキストデータなので、検索も容易であり、 これらのメリットは電話と言う手段では得られません。
なんでもかんでもメールが良いって訳じゃない
勿論、場合によってはメールが適さない事もあります。
メールの最大のデメリットは、やり取りがターン制になってしまう点です。 この為、数回のやり取りで完結するレベルの、短い議題に限って使用すべきです。
やり取りの回数が多くなったり、議論・話題が拡散するような場合は、やはり直接のやり取りが適しています。
しかし、直接のやり取りと言っても、ここで電話の出番となる訳ではありません。
ぼくの場合は概ね、話題の大小レベルに応じて以下の手段を選択します。
電話だけでやり取りすると言う事はほぼありません。
ごく稀にですが、年配の方が『大事な事はきちんと電話で直接伝えるのが礼儀だ!』みたいに言ってるのを目にしますが、 ぼくとしては通信手段が電話か手紙かの2択に限られていた時代から脳みそのアップデートが止まってるんじゃないかなと思います。
電話を使うほぼ唯一の場面
ぼくが電話を使うとしたら、恐らくそれは次の一択です。
前述の何れかの手段で直接話をし、その内容を要約してネゴを取る確認のメールを出します。 そして、万一の見落としや白ヤギ黒ヤギ現象を避ける為に、『メールしたので内容を確認の上、返信ください』と言う事を電話で伝えるだけです。 当然、この程度の要件であれば電話に本人が出る必要などなく、用件だけ伝言して貰えばそれで良いので、本人や関係者への同期通信は不要です。
余談ですが。
かのホリエモンこと堀江貴文氏も似たような事を言ってるそうです。
ぼくはまだ読んでないんですが、著書「多動力」の中でそんな事を書いてたそうです。 気になるので、今度本買って読んでみようかと思います。
【2】メールには即時返信すべし。
さっきの続きみたいなものですが。
メールは、内容を確認したら即時返信する事。
これは絶対に、例外なく。
メールは確認したら即時返信すべし。
これに関して例外はありません。 (強いて例外を挙げるとしたら、既に帰宅していてプライベートな時間にたまたまメールに気付いた場合、とかですかね。)
そんな事言っても、、、
「そんな事言っても、すぐには回答出来ない場合もある*2じゃないか」と言う人がいると思いますが・・・。
いいえ、そんな事は絶対にありません。
何故なら、すぐに回答できない場合は『すぐに回答できない』という旨を、すぐに回答する事が出来るからです。 つまり、すぐに回答するか、すぐに回答できないという回答をするか、と言う二択しかなく、回答できないと言う解は有り得ないのです。
「トンチじゃねーかそんなの!!」と言う人もいそうですが、これって凄く大事な事です。
直ぐに回答できない場合の回答
ぼくの場合、貰ったメールに対して正式回答をすぐに出せない場合、以下の点を明確にしたうえで一次回答を即返します。
- 直ぐには正式な回答を出せない事をまず第一に明記する。
- 次に、情報の確度は低い事を明記した上で一次回答を記載する。
- 最後に、確報をいつ頃出せそうか見込みを伝える。
何れにせよ、少なくともメールの要件を確かに承った事と、その時点で返せる情報を全て返すと言う事。
この二点は鉄則としています。
【3】悪い情報ほど早く、良い情報は後回し。
悪い情報は早ければ早いほど良い。
悪い情報、悪い報告は、遅延させればさせるだけ状況が悪化します。
悪い情報ほど早く、これは良く言われる事です特に目新しい話でも何でもないですが、なかなか守れない人が多いのも事実ですよね。
「悪い情報の報告」と言うのは、プログラムで言えば「例外処理」です。
プログラムに於ける正常処理と例外処理
プログラムには大きく「正常処理」と「例外処理」という2つの処理の流れがあります。
通常、特に問題なく処理できる場合は「正常処理」と言う、予め定められた処理が実行されるルートを流れます。
対して、何かしら問題*3があった場合は「例外処理」が働きます。 「例外処理」は、その時やっている処理を即時中断し、予め定められたルートをすっ飛ばしてエラートラップと呼ばれる部分まで一気にワープします。
プログラムを人間の業務に例えると
人間に例えると、日々の通常業務をこなしている間は「正常処理」です。
何か問題が発生した場合、そこで仕事を一旦中断し、すぐに判断を下せる偉い人に報告し、どうするべきか判断を仰ぐのが普通ですね。 プログラムが例外を投げるというのはつまりこの「偉い人に報告」をしている訳です。 この時、頑張って何とか処理を続行しよう等とは一切考えず、可及的速やかに例外を投げて「偉い人に報告」するのです。
そうです、悪い情報に対しては根性ナシで良いのです。
むしろ、訳の分からん根性を発動して事態をややこやしくするのが一番ダメです。
兎に角、判断を下すのは責任を伴っている上の人間の仕事です。
勿論、作業担当としてその後の展開に対して「提案」する事は出来ますけどね、それはあくまで「判断材料」であって、判断は上の人間にやらせる必要があります。
責任と権限は常に同じ所に在るので、それを間違えないようにしなければなりません。
報告の遅い人にありがちな事
悪い事を報告しなければならない。
怒られる。
怒られるのが嫌だ。
だから黙る。
黙っててもどうせバレる訳で。
どうしてもっと早く報告しなかったのかと更に怒られる。
小学生か!!!
でもねぇ、ほんとにねぇ、小学生みたいな人、いるんですよねぇ。
エラートラップする側が気を付けるべき事
逆に、自分が報告を受ける側の場合に気を付ける事があります。
この場合気を付けるべきは、例外を上げて来た事を絶対に責めないと言う事。
正しく報告してきた人間に対しては、正しく例外をスローした事に対してむしろ褒めるべきです。
※勿論、本人が何かしらやらかしたのであれば、そのやらかした事に対してはそれなりに叱責する必要はありますが。
少なくとも、それなりの立場にいる人間は、悪い情報を報告する者が変に委縮しないように気を付けねばなりません。
一番宜しくないのは、例外を勝手に握り潰す輩です。
プログラムでもそういう問題がたまにあります。 本当はそこで例外をスローしなきゃいけないのに、例外を握り潰してその後の処理を続行しちゃうような、暴走プログラム。
情報伝達の重要性
情報伝達と言うのは、システム開発、特に集団開発に於いては、人体にとっての血液のようなものです。
情報が止まるというのは、即ち血流が止まるのと同じで、そこから壊死していくのです。
情報を遮断する、報告を上げない、と言うのは、システム開発に於ける最大の罪だと思います。