ようこそここは俺のチラシの裏だ。

専門学校卒のぽんこつえんじにあが個人事業主になって書いているただの日記。

【読書感想文】会社の辞め方に関して。

プロサラの阿部さんが、下記Yahooニュースに対してこんなブログ記事を書かれていました。

www.prosalarymen.com

headlines.yahoo.co.jp

大変共感する内容でした。

ぼくも、過去に何度かの転職経験がありますので、ぼく自身の考えを書いておこうかと思います。


もくじ

基本線は同意。

先のブログの阿部さんも仰っていますが、基本的に元記事の加藤さんの言っている事は正論尽くしだし、基本的に何も間違っていない、極めて正しい事が書かれています。

ざっと全4ページある記事から幾つか引用してみますが、本当に正しい事が書かれています。

大企業でも倒産のリスク

どれだけ大企業であろうが倒産のリスクは当然ついて回る。

本当の意味の“安定”とは、明日もしその会社がなくなったとしても、「ふーん、それで?」といった感じの素知らぬ顔ができるぐらい、個人の名前で仕事ができることだ。

正しく、仰る通り。

かなりうろ覚えですが、以前「会社が社員にしてやれるのは、もし明日倒産して会社が無くなったとしても、社員全員が問題なく再就職出来るだけのスキルを身に付けさせてやる事だ」と言っていた社長さんがいたそうです。

本当にその通りだし、社員は社員で、そういう意識で日々の仕事の中で自己のキャリアアップを考えていく必要がありますよね。

入社を待ってくれる会社を転職先に選ぶべき

むしろ転職先の会社の方から

「きちんと前の会社で引き継ぎをして、関係を悪くしないで来てください。待ちますから。」

と言ってもらえるぐらいのところを選ぶべきである。

これもその通り。

特に、IT業界のように「キャリアアップとしての転職」が手段として行使される業界では、同業他社への転職が基本線な訳だし、退職後に付き合いが生じる可能性は少なくない。

そういう意味でも、きちんと円満退職出来るよう、入社時期の調整に応じてくれるような常識的な会社を選ぶべきだと言う指摘はごもっとも。

世間というのは意外と狭い

世間というのは意外と狭い。 ましてや同じ業界内ならなおさらである。

「会社を辞める自由」を主張する人が多いが、わざわざ評判を落としてしまうような振る舞いをしてしまうなんて、とても、もったいないことだと思う。

ほんとその通り、特に付け足す事もない。

対して、ちょっとどうかなと思う所。

と言う事で、基本的には「信用と言う観点から、円満退職は大事だよ」「独立起業を考えるなら尚更だよ」と言う事が書かれており、大筋に於いて正論が書かれています。

ただちょっと、ぼく個人のこれまでの経験から、同意しかねるというか、必ずしもそうとは限らないんじゃないのと思う所があります。

きちんとした後任を見付けて、完全に引き継ぎを行えと言うが。

ぼくとしても、業務の引継ぎと言うのは、退職する人間にとっての最後にして最大の仕事であると考えます。

立つ鳥跡を濁さずと言う言葉の通り、ある人が居なくなったからと言って必要以上にドタバタしないよう、きちんと出来る限りの準備をしてから居なくなるべきでしょう。

と言うか、エンジニアに限って言えば、辞めるとか辞めないとかそういう話とは関係なく、自動化・システム化を進めて属人性を下げるような仕事を日常的にするべきだし、そういう意味では「特に引継ぎが必要ないような仕事」を心掛けるべきですよね。 (まぁ、エンジニアの、更に開発業務という、極めて限定的な話ですが)

会社側が引き継ぎに対して真っ当な姿勢である前提が必要。

業務引き継ぎは大事、この基本線に異論は全くありません。

但し、それには会社側からのきちんとしたバックアップがある前提の話ではないかと思います。

つまり、引き継ぐべき後任を用意する事と、引き継ぎ実施の為に引継ぎ期間を設ける(2人ぶんの工数を空けておく)のは、会社の責務であって、辞める方の人間個人が背負うような話ではないと言う事です。

そして、悲しいかな加藤さんが仰るような「辞める会社に対して仁義を欠く残念な人」よりも、「責務を全うしない残念な会社」の方が多いのではないかと思います。

一年間もの引継ぎ期間を設けるというのは言う程簡単な事か?

元記事の加藤さんは、ある会社を辞める時に、きちんと引き継ぎを行うために一年間準備期間を設けたと言っています。

実に素晴らしい事だとは思いますが、人が辞めるにあたって「半年や一年と長い時間掛けて引き継ぎするよ」と言ってウェルカムな会社が一体どれくらいあるんでしょうか。

一年間の引継ぎ期間を設けるというのは簡単な話ではありません。

ちょっと長すぎる気もしますが、引き継ぎに一年間掛けるのが、まぁ仮に妥当な期間だったとして。

当然その一年間は無償のボランティア活動と言う訳じゃないでしょう。

引き継ぐ人間と、引き継がれる後任、合わせて2人(引き継ぐ先が1人で済まないならその分増える)に対して、一年間引き継ぎの為に給料を払うよと言う会社側の前向きな姿勢が不可欠な訳ですよね。

勿論、引き継ぎ期間中、何も仕事をせず引き継ぎだけをやる訳では無いでしょうけど、だとしても引き継ぎの為に金を払うとか、勤務時間の調整(客先常駐ならその辺のやり取りも発生しますよね)だったり、そういう諸々を含めて会社がきちんと動いてくれないようでは実現しない話です。

例えばSESで人売りしてるような会社では一生不可能な話ですよね。 (SESやってる会社で引き継ぐような事なんて特に何もないと言われれば、まぁそれまでですが)

辞めようとする会社の全てが真っ当な会社な訳が無い。

と言うか、そもそも真っ当な会社であれば特に辞める必要性も低いんだから、転職する際のサンプルとしては特殊じゃないですかね。

むしろ多いのは、会社側に制度や報酬の面で何かしら問題があり、折り合いが付かないから辞めるというケースが大多数を占めるのではないかと思います。

と言うかもっと言えば、ブラックだから辞める、と言うのも普通にある話ですし、一年間の引継ぎ期間に対してウェルカムな超ホワイト企業に比べれば圧倒的に多いサンプルでしょう。

加藤さんが言いたい事。

まぁ、加藤さんが真に言いたいのはそう言う事じゃなくて、

「1年間引き継ぎするよと言って会社がYesと言うくらいの人材になれ」

と言う事なのかも知れませんけどね。

実際にあったぼくの話

ぼくが実際に辞めた何社目かの話です。

とある客先常駐案件での話

客先常駐での某システム開発で、ぼくが実質的なアーキテクト的立場で、チームリーダーを兼務していた時の事。

以前から自社に不満があり、退職については実際に辞める一年以上前から重役・上司に伝えていました。

しかし会社側としては、引き継ぎ要員をどうするとか、引き継ぎ期間をどうするという話は一切ありませんでした。

仮にも客先常駐で、それなりの立場にいて、突如辞めるとしたらクライアントにもそれなりに迷惑が掛かる状況下なのに、ですよ。

まぁ、ぼくとしても「そういう会社」であることは重々承知していましたし、だからこそ辞めるのであって、その辺に関してはハッキリ言って何も期待していませんでした。

自社なんかよりも、実際の仕事仲間の方が大事。

と言う事で、自社に対してはもう引き継ぎ云々と言う話は何も期待しませんでしたし、いざ辞めると言った時にバタバタする事になったとしても(そして、実際に多少バタバタしたようですが)、知った事ではありませんでした。

が、案件先の仕事仲間(所属会社はバラバラで、自社の人間はいない)に対して迷惑をかけるつもりは一切無かったので、自社よりも先にその開発案件のマネージャ(と、数名のキーマン)に退職の意向を打ち明けていました。

彼らも「居なくなられると困るは困るが、すがりょーさんの人生なので、こっちの都合で無理に引き留める訳にもいかない」と言って貰えましたし、そういう人達だからこそ迷惑を掛けたくないという思いも強かったです。

元記事の加藤さんの言う「仁義」と言うやつですね。

ただ、その仁義の払い先は自社では無かった、と言うだけの話です。

退職準備

自分がいつ実際に辞める事になっても問題ないように、色々と下地造りと準備を進めていました。

勿論、表向きは退職の事は伏せられていましたので、クライアントに解らないような形で、水面下で準備するだけに留まるので、引き継ぎと言うような引き継ぎはありませんでしたが。

と言っても、先に書いた通り、エンジニアの開発業務ですから、手順を明確にするとか、ドキュメントを整備するとか、自動化・機械化しておくとか。 日常的な仕事のやり方で「引き継ぎすべきことを最小化する」と言う「引き継ぎ」を行っておいたので、いざ辞める時には特別やるような事はありませんでしたが。

あとは、プロジェクトの中でそれなりに手を動かせる自分が抜けても大きな問題にはならないであろうフェーズに来るまで、退職時期を待っていたりしました。

自社からの引継ぎ要員と、実際の引継ぎ要員。

「さて、そろそろ良いかな」と思った所で改めて重要人物には話をし、自社には前々から伝えていた通り退職願を提出しました。

ちなみに、転職先に関しては、そういう細かい事情は伏せていたものの、転職時期に関しては相談させて欲しいという話をしており、内定から入社まで少し待って貰っていたという裏話があります。

さて。

最終的な退職月とその直前になって、形だけの引継ぎ要員(と言う名の、案件先の手伝い要員)が来ました。

とは言え、その人に引き継ぐような事は何もない上に、開発スキル的にも圧倒的に下だったので、引き継ぎたくとも引き継げないというのが正直な所だったので、素直に案件の雑用をやって貰ってました。

実際に必要な引き継ぎは、既に前述のキーマンに引き継ぎ済み(と言うか、頻繁に情報を共有していたので、引き継ぎ自体が不要)でしたので、現場的には大した混乱はありませんでした。

まぁ、強いて言えば自社の営業とその手伝い要員に関しては多少混乱していたようですが。

一年以上前から退職の意向を伝えていたにも関わらず、実際に退職願を出してから漸く慌てふためいているような連中ですので、これは自業自得でありそこまで面倒見切れません。

これはこれで特殊なケースかも知れません。

加藤さんの例も、ぼくの例も、もしかするととんでもないエッジケースなのかも知れません。

なので、まぁ一般化して言うつもりはありません。

ぼくがここで言いたい事:

ぼくが言いたい事は、世の中には色んな会社があり、色んな人がいて、色んな事情と理由があって辞めていくのだと言う事。

そこでの「辞め方」に対して択一的な答えなんか無いんじゃないかなぁと言う事です。

先のブログを書いたプロサラの阿部さんが例に挙げているように、ブラック企業からの緊急回避的な手段としての退職と言う事もおおいに有り得ます。

理想と現実は区別して認識すべき:

一般化して「円満退職のすゝめ」を述べるのであれば、加藤さんのようなかなり尖った例はちょっと相応しくないのかなと思います。

あれは、極めて理想的で、上澄みを救ったような綺麗な話であり、世の中そんな綺麗な話だけじゃなく、むしろもっと濁った話の方が普通なんですから。

勿論、加藤さんの挙げている例はとても理想的であり、目指すべき形であると思います。

ただ、理想であるが故に、裏を返すとそれは現実と言う物からかなり遠い所にあるのかな、と言う印象を受けます。

まとめ

「最低」な「会社の辞め方」

なのか、

「最低な会社」の「辞め方」

なのか、

どちらなのかで話は大きく変わって来ると思うんですよね。

エンジニアであれば誰でも知っている金言に銀の弾丸は存在しない」と言うものがありますが、システム開発に限らず「物事に於いて、単一の考え方を全てに当てはめるのは間違っている」と言う事が言えると思います。

今回も、そういうケースなんじゃないかと。

少なくとも、元記事に何度か出て来る「仁義」と言う言葉。

仁義とは 他人に対して欠かせない礼儀上の務め、義理。 の事だそうです。

先に会社の方が礼を失するような真似をして来たのであれば、果たすような仁義など存在しないと言う事も有り得るんじゃないですかね。


もくじ