2021年12月 令和4年度 税制改正大綱に基づく変更
があるらしいのでこっち読んでね。
ただまぁ、雑に言うと『対応できねえ事業者は2年猶予やんよ』って事なので、対応できる人は普通に対応しときましょう、で良いと思う。
最近なぜだか Twitter でインボイス制度はんたーいはんたーいって妙に騒いでて、正直 「何故いまさら!?」 って感じなんですが。
あとそもそもこれで 「売上激減!!」 って騒いでる人は 「一体何%消費税預かってるんですか!?」 って疑問もあるんですが。
まぁそれは置いといて。
再来年開始の インボイス制度
もまぁ勿論大事ですが、来年開始の 電子帳簿保存法改正
の方にも目を向けてあげて、どうぞ。
電子帳簿保存法の改正概要
ということで、 電子帳簿保存法 こと 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 が改正されます、来年。
もうあと2ヶ月切ってんじゃねえか!!!
まぁ、これは結論としては我々にとってメリットのある改正であって。
別にとりたてて騒ぐ事ではないってのがぶっちゃけた話なんですけど。
エンジニア的にはね。
これまで長いこと紙ベースで商売してきた人には、突然結構ハードル高いこと言われて「ファッ!?」てなっててもおかしくはない。
参考: 電子帳簿保存関連法 - 国税庁
雑に言うと 「今までは紙で領収書を保存しとけと言っていたな、スマンありゃ(一部)止めだ」 って言う話です。
内容を元にもうちょっと意訳すると 「紙で貰った領収書は電子化したら捨ててええで」 って言う話です。
電子帳簿保存法の改正詳細
でまぁ 「そもそも電子ナンチャラ法って何者やねん」 って所からだと思うんですけど。
まず 電磁的記録
として定義されるものが幾つかあって、それに対する 保存方法
を定めた法律になります。
具体的には 電磁的記録
には以下の 3つの区分 が定義されており、それぞれに 適用されるルールが異なる ようです。
- 区分①: 会計ソフトなどを用いて、電子的に作成されたもの。
- 区分②: 紙で受領したものをスキャナなどで電子化したもの。
- 区分③: 電子的に受領したものを、そのまま保存したもの。
参考 電子帳簿保存法改正リーフレット - 国税庁 - pdf
区分①
に関しては、受領した物をインプットデータとして 自分で作成した電子帳簿 の事を言っていて、
区分②
と 区分③
に関しては 紙で貰ったものを電子化した のか 最初から電子で貰ったのか の違いを言っていて、
ちょっと 軸が異なる話 になってるのが解り難いっすね。
つまり、もうちょっと分かりやすくメタ情報を補完すると。
- 貰った「電磁的記録」
- 最初から電子で貰ったもの。
→区分③
- 貰ったのは紙なんだけど、自分で電子化したもの。
→区分②
- 最初から電子で貰ったもの。
- 自分で作った「電磁的記録」
- 貰った物を入力情報として、自分で作ったもの。
→区分①
- 貰った物を入力情報として、自分で作ったもの。
って言う事ですかね。
説明の順序的にも、区分①~③って逆順の方が良いと思うんだけどなぁ。
具体例を出すと
- メールでやり取りしている注文書・注文請書、或いは請求書。
→区分①
- ヨドバシカメラでPCパーツ買った時に貰った領収書をスキャナで取り込んだもの。
→区分②
- 紙やら電子やらの領収書を会計ソフトに入力して作った経費帳とか。
→区分③
っていう理解で良さそうです。
では、国税庁リーフレットを参照しながら、それぞれの変更内容を見ていきましょう。
区分① 電子帳簿等の保存ルール
~ 電子帳簿等保存(区分①)に関する改正事項 ~
ではまず、電子的に作成した帳簿の保存ルールを見ていきます。
1 税務署長の事前承認制度が廃止されました。
これまでは事前の申出と承認が必要だったけど、面倒だからやらなくていいよ!!
これからは電子で保存するのが常識だからな、しっかりやれよ!!
ということのようです。
2 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備されました。
幾つかの条件を満たすと 優良帳簿
っていうのに認められます。
これに認められると何が嬉しいか?
なんかあって確定申告をミスってた時に 過少申告加算税
ってのがペナルティとして課せられるルールがあるんですが。
このペナルティを食らった時に 「5%ぶんペナルティ軽くしてやるよ、ホラ嬉しいだるるぉ?」 と、ちょっと 手加減してくれる 模様です。
3 最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等が可能となりました。
だそうです。
「最低限の要件」って何じゃああああーーーッッ!!クソイラつくぜぇえええ「根掘り葉掘り」って言葉ぁああああーッッ!!
ってギアッチョする人もいると思いますが、まぁ落ち着いて欲しい。
詳しくは 「リーフレット2ページめの表の "改正後|その他" の欄を参照せよ」 と書いてあります。
じゃあ該当欄でマルのついている項目を確認してみますと。
(この表さぁ・・・画像添付になってるからテキストコピペ出来ねぇのマジでギアッチョなんだがぁ???)
- システム関係書類 を備え付けること。
システム関係書類:
システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等 - 保存場所に 以下 を取り付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。
以下:
電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアル - 税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしていること。
話が長ぇ、「出せって言ったらすぐ出せ」でええやろ。
ということが書いてあります。
相変わらず解り難いですねぇ。
雑に纏めると
「税務職員が税務調査する時にやりやすいようにしとけよ」
こういうことだな?
で、えー。
「優良」 には条件に含まれている 検索要件
ってのがあるんですが、
「その他=非優良」 に関しては条件外になってるので、一旦ここは飛ばしましょう。
後でまたでてくるのでね、検索要件。
区分② スキャナ保存の保存ルール
~ スキャナ保存(区分②)に関する改正事項 ~
次に、紙で受け取ったものをスキャンして保存する場合のルール。
「このルールに則ってスキャナ保存すれば、紙で貰った領収書とか捨ててもいいよ」
という、とても嬉しいルールです。
1 税務署長の事前承認制度が廃止されました。
これは先の 区分①
と同じですね。
2 タイムスタンプ要件、検索要件等について、次のとおり要件が緩和されました。
- ⑴ タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2か月と概ね7営業日以内とされました。
- ⑵ 受領者等がスキャナで読み取る際の国税関係書類への自署が不要とされました。
- ⑶ 電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等(注1)において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることとされました。
(注1) 訂正又は削除を行うことができないクラウド等も含まれます。- ⑷ 検索要件の記録項目について、取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先に限定されるとともに、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じる場合には、範囲指定及び項目を組み合わせて条件を設定できる機能の確保(前頁帳簿の検索要件②及び③に相当する要件)が不要となりました。
だってさ。(なげぇ)
えーと、、、雑に噛み砕いて纏めるとこういうことか?
- タイムスタンプ付与期間を延長してやろう
- これまでは 3営業日以内 にタイムスタンプ付与する必要があったよ。
- これからは 2ヶ月と7営業日以内 にタイムスタンプ付与すれば良いよ。
- スキャナ保存する時に自署しなくていいよ
- スキャンする時にいちいちサインとかないわーwww
- 変更管理してる場合はタイムスタンプ無くていいよ
- 電磁的記録に於いて、変更や削除を行った場合にそれが記録されるのであれば、
そもそもタイムスタンプ付与自体をやらなくていいよ。 - 要するに、適切にバージョン管理されて変更や削除がトレース出来るなら、
個々にタイムスタンプ付与する必要ないからやらんでええで。
- 電磁的記録に於いて、変更や削除を行った場合にそれが記録されるのであれば、
- 検索要件を一部緩和したるで
- 税務職員がダウンロードして調べられるようにしとけば、検索要件でイチイチ細かい事言わんといてやるわ。
だいたいこんな感じか。
でまぁ。
そもそもいきなりでてきたその「タイムスタンプ付与」ってなんやねん。
って言う話になりますよね、そりゃそうよね。
これもまぁ、後で別途纏めましょう。
3 適正事務処理要件(注2)が廃止されました。
(注2) 相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等のことをいいます。
これまでは 適正事務処理要件
というのが必要だったけど、廃止するでな。
これに関しては廃止されるっつってるんで、ぶっちゃけあんま興味が無いんですけど。
- 適正な実施を確保するために必要な体制及び手続に関する規程
- 相互けんせい
- 定期的なチェック
- 再発防止策
ってのが必要だったようですが、これが廃止されるそうです。
詳しくは このへんのサイト が解りやすいと思います。
4 スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置が整備されました。
一言でいうと
「悪いことすんなよ」
です、以上。
区分③ 電子取引の保存ルール
~ 電子取引(区分③)に関する改正事項 ~
最後、電子で貰ったものを電子のまま保存する電子取引の保存ルール。
雑に結論だけ先に言っとくと
「電子で貰ったものは紙で保存すんなよ」
ということになります。
1 タイムスタンプ要件及び検索要件について次のとおり要件が緩和されました。
タイムスタンプ要件に係るタイムスタンプの付与期間及び検索要件に係る検索項目について「スキャナ保存(区分②)に関する改正事項」の2(1)と(4)と同趣旨の改正が行われたほか、基準期間(注)の売上高が 1,000 万円以下である方(小規模な事業者)について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要とされました。
(注) 「基準期間」とは、個人事業者については電子取引が行われた日の属する年の前々年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までの期間をいい、法人については電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度をいいます。
なっげぇ。
まず雑に読み取れるのは以下とおりですね。
区分②
のスキャナ保存と同じく、タイムスタンプ付与期間の延長 と 検索要件の変更 があるよ。- 基準期間の売上1,000万以下の事業者 は、そもそも
検索要件
自体が 不要 だよ。
ただし、税務署の職員が記録出せって言った時は速やかに出しなさいよ。
ってことですね。
基準期間売上1,000万以下 っつーのは要するに アレと同じ ですね。
「免税事業者なら検索要件いらねえよ」
ということを言っていますね。
リーフレットの (注) のところの但し書きは、免税事業者か否かの判定が行われる 「2年前」 の事が書いてあるだけですね。
個人事業主でこのルールを知らん奴はいないと思うので、まぁこれは蛇足でしょう。
2 適正な保存を担保する措置として、次の見直しが行われました。
2.(1)
が極めて重要ですね。
これまでは 「電子で貰ったものも紙で印刷して紙保存して良いよ」 だったけど、
今回の改正により 「電子で貰ったものは電子のまま保存しなさい」 に変わります。
別に、印刷しちゃダメではないけど、印刷して保存した所で 「それは税務的にはノーカンだからね」 って事ですね。
2.(2)
はまぁ・・・別に良いでしょう。
電子データなので改竄とかがやり易いので、もしやったら 重加算税10パー だから覚悟しとけって事ですね。
この改竄防止の為に 変更記録ができるシステム
或いは タイムスタンプ付与
ということが求められている訳ですね。
うん、当たり前過ぎて何も言う事がない。
電子取引の保存要件
- 真実性の要件
- 可視性の要件
区分③
の電子取引に関する保存要件として 真実性
と 可視性
という条件が設定されています。
電子取引:真実性の要件
真実性の要件
以下の措置のいずれかを行うこと
- タイムスタンプが付された後の授受
- 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
だそうです。
つまり?
- タイムスタンプ付与されたものを受け取るか、
- タイムスタンプ付与されてないものを受け取ったら早めにタイムスタンプを付与するか、
- または、訂正削除ができないシステムか、訂正削除をしたら記録が残るシステムを使うか、
- 或いは、訂正削除する場合に備えて「事務処理規程」を定めなさい。
ということを言っている模様。
- 貰ったものが既にタイムスタンプ付与されているものなら、それはそのまま保存すればオッケーだよ。
- タイムスタンプ付与されてないものを貰ったら自分でタイムスタンプ付与すればそれもオッケーだよ。
- タイムスタンプ利用じゃなくても、訂正削除、つまり改竄しても証拠が残る仕組みならオッケーだよ。
- それが出来ない場合は、訂正削除に対して「事務処理規程」をルールとして定めてればオッケーだよ。
という理解で良いみたいです。
纏めるとこうなります。
- 以下のいずれかの方法で保存すること
- 保存される電磁的記録にタイムスタンプが付与されていること
- 変更不能、もしくは変更が記録されるシステムで管理すること
- 事務処理規程を定めること
で、その最後の 事務処理規程
ってなんやねん?
という話になりますね。
電子取引:事務処理規程
なんかねー。
結局、このルールがザル要素みたいっすよ?
電子帳簿保存法Q&A - 国税庁サイト に 一問一答 - PDF ってのがあって、
問24
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、規則第4条第1項第4号に規定する「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」を定めて運用する措置を行うことを考えていますが、具体的にどのような規程を整備すればよいのでしょうか。
これに対する回答と、法人向けと個人事業主向けそれぞれのサンプルが載っています。
で、この事務処理規程が、まーーーーザルいwww
個人事業主向けのサンプルなんか、こんなペラ紙一枚だぜ?
そのまま全文引用すると、この内容でオッケーって言ってる。
電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程
この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を適正に履行するために必要な事項を定め、これに基づき保存することとする。
(訂正削除の原則禁止)
保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。(訂正削除を行う場合)
業務処理上やむを得ない理由(正当な理由がある場合に限る。)によって保存する取引関係情報を訂正又は削除する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、当該取引関係情報の保存期間に合わせて保存するとことをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名
この規程は、令和○年○月○日から施行する
簡単やなぁ・・・。
法人向けサンプルにしても、関わる人が多いからそれぞれの役割規程なんかが要素的に追加されてるだけで、基本的なルールは個人事業主版と大差なし。
タイムスタンプ付与
や バージョン管理システム
に比べてかなり簡単、ザルいと言わざるを得ないのレベル。
電子取引:可視性の要件
可視性の要件
下記のすべてを満たすこと。
- 保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。
- 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
- 帳簿の検索要件相当 の検索機能を確保すること
保存義務者が小規模な事業者でダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、上記の検索機能は不要
だそうです。
要するにアレだ。
「そこのハードディスクにデータ保存してあっから!!」
みたいな状態じゃダメって事ですね。
税務調査する時に困るから、データだけ置いてあるとかじゃなく、ちゃんと参照しやすい状況作っとけよ、って事が言いたいんでしょう。
検索要件について
で、途中もちょっと飛ばしてきた 検索要件
について見てみましょう。
検索要件
①
改正前: 取引年月日、勘定科目、取引金額 その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目 により検索できること 改正後: 取引年月日、取引金額、取引先 により検索できること② 日付又は金額の範囲指定により検索できること
③ 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
だそうです。
検索条件に使用する項目が少し緩和されたんですね。
参考: 電子帳簿保存法上の電子データの保存要件 - 国税庁サイト
まとめ
ということで、法改正後の 区分①~③
の保存要件について見てきました。
紙の領収書を電子化保存する際の条件が緩和されていて助かりますね。
これで・・・ようやく・・・紙の領収書保存義務から・・・解放されるんやな、って・・・。
そして電子で貰ったものは電子で保存しなさいよは、これはまぁ当然だからどうでも良いですね、うん。
あとあれだ。
これはただの職業病なんですけど、タイムスタンプの細かい仕様に関してはすごく気になりますね。
基本的にはファイルのバイナリデータと時刻を組み合わせたハッシュ値を扱ってるんでしょうけど。
これ、アレなの?
自作しちゃダメなの?